SOSの猿/伊坂幸太郎 感想・評価 自己嫌悪が強い人にオススメ【感動本】
・小さいことにイライラしてしまう人
自分なんか大っ嫌い…。
あの人の態度なに?ムカつくな〜。
『SOSの猿』の評価は賛否両論だけど、おもしろいのかなぁ?
そんな人に紹介する感動本は、伊坂幸太郎さんの小説『SOSの猿』です。
私は伊坂幸太郎さんが大好きで、文庫本は全て買い揃えております。
なかでも『SOSの猿』はその異質さから賛否両論の評価を受けています。
しかし私は声を大にして言いたい。
『SOSの猿』からは ものすごく大切なことが学べると。
そんな『SOSの猿』を読んで学べることが、以下の2つをです。
・小さなことでイライラしないためのヒント
少し変わった小説が好きな人、名言が好きな人に特にオススメです。
著者 伊坂幸太郎ってどんな人?
『SOSの猿』の説明の前に、著者である伊坂幸太郎さんについてご説明させてください。
長らく第一線で活躍されている小説家です。
勧善懲悪なエピソードが多く、終盤で一気に伏線を回収する構成にはいつも驚かされます。
個人的にこれから読書を始める人には超オススメの作家です。
当ブログでも『終末のフール』という伊坂作品についてご紹介していますので、興味がある方はご覧ください。
SOSの猿/伊坂幸太郎ってどんな本?
『SOSの猿』は伊坂幸太郎さんの長編小説です。
漫画家の五十嵐大介さんとの共作プロジェクトとして執筆されたものです。
SOSの猿 あらすじ
あらすじはというとですね・・・
三百億円の損害を出した株の誤発注事件を調べる男と、ひきこもりを悪魔祓いで治そうとする男。奮闘する二人の男のあいだを孫悟空が自在に飛び回り、問いを投げかける。「本当に悪いのは誰?」はてさて、答えを知るのは猿か悪魔か? そもそも答えは存在するの? 面白くて考えさせられる、伊坂エンターテイメントの集大成!
出典:『SOSの猿』/伊坂 幸太郎
あらすじだけ見ると「なんのこっちゃ?」って感じですよね。
それもそのはずです。
なぜなら『SOSの猿は』、「孫悟空」×「エクソシスト」という五十嵐さんから持ちかけられた材料に対して、「株の誤発注」という伊坂さんが前から描きたかったエッセンスを追加してできたものなんです。
SOS/伊坂幸太郎をオススメする理由【ネタバレなし感想】
伊坂幸太郎さんの大ファンである私が、『SOSの猿』をオススメする理由は3つあります。
・独創性
・テーマ性
・伊坂幸太郎の進化を感じる
それぞれ詳しく説明させてください!
SOSの猿のオススメ理由① 独創性
私は伊坂幸太郎さんの大ファンですが、その中でも『SOSの猿』は異質な作品です。
正直言うと、伊坂作品らしさの象徴でもある「リズミカルな会話」と「終盤の伏線回収」という観点からすると、『SOSの猿』はやや迫力に欠けます。
しかしながら、私はこの『SOSの猿』に似ている作品というのを読んだことがありません。
つまり、それだけの独創性があると言えます。
ひとしきり伊坂作品を読みきった人、
一風変わった小説が読みたい人はぜひチャレンジしてみてほしいです。
終末のフールのオススメ理由② テーマ性
『SOSの猿』のテーマは、人の悪い部分です。
この『SOSの猿』を読めば、自分の嫌いなところと、どう付き合っていけばいいか、そのヒントを得ることができます。
あまり詳しく話すとネタバレになるので、結論だけ言いますね。
人間には良い部分と悪い部分があって、永遠にそのどちらとも付き合っていくことこそ、人間としてのあるべき姿なのです。
詳しくは次の章のネタバレあり解説でご説明しますね。
SOSの猿のオススメ理由③ 伊坂幸太郎の進化を感じる
これは私の考察ですが、伊坂幸太郎さんは新しい境地を模索していたのではないでしょうか。
『SOSの猿』が単行本で出版されたのは2009年のことです。
そして同じ2009年に出版された本こそ、伊坂作品最大の問題作である『あるキング』です。
『あるキング』は『SOSの猿』と同等、いやそれ以上に世間の評価は良くありません。
しかし私は、この2つの小説は伊坂幸太郎さんがあえて自分の得意なパターンを封印して、次のステップに進もうとしていたのではないかと考えています。
そんな伊坂作品の関連性が見えるのもおもしろさの一つです。
SOSの猿/伊坂幸太郎から学べる2つのこと【名言もあるよ】
冒頭にもご説明した通り、『SOSの猿』を読めば以下の2つのことが学べます。
・小さなことでイライラしないためのヒント
この2つについて、より具体的にご説明していきます。
なお、小説の一文を引用しながらの説明になります。
ストーリーの本筋には触れませんが、念のためここからはネタバレあり扱いとします。
くれぐれもご注意ください。
①自分の嫌いな部分との向き合い方
みなさんは自分に嫌いな部分はありますか?
私はあります。
失敗を引きずるところとか、自分の意見をうまく言えないところとか、あげればキリがありません。
そんな自分を思い出すたびに、「自分の嫌な部分だけどっか行ってくれないかな〜」なんて思ったりします。
もし、同じようなことを考えたことがある人は、『SOSの猿』を読む価値があると思います。
その鍵となるのが悪魔祓いとバロンダンスです。
悪魔祓い?バロンダンス?
突然なんの話?
どちらもこの小説を語るうえで大切な単語です。
それぞれ解説しますね。
悪魔祓い(ばらい)とは
バロンダンスとは
バロンダンスは悪い部分だけを追い払うという悪魔祓いの対極の存在って感じがしますね。
悪魔祓い vs バロンダンス
②イライラしないためのヒント
みなさんは他人の言動でイライラしたりはしませんか?
例えば、店員にぶっきらぼうに接客されたり、順番待ちしていたところを抜かされたり、とかそんなことです。
私はよくそういう小さいことでイライラしていたのですが、『SOSの猿』のとあるセリフを読んでからは気にならないようになりました。今回はそのセリフをご紹介します。
「作り話をでっちあげて、納得しちゃうべきだって」
出典:『SOSの猿』/伊坂 幸太郎
この考え方はすぐに真似できます。
他者のことで不満や不安に思っていることがあるのなら、その背景を勝手に作っちゃえばいいんです。
ぶっきらぼうな店員がいたとしたら、親の介護が大変であんまり寝れていないんだな、とかそんな感じです。
私はこうやって考えるだけで、小さいことでイライラすることが格段に減りました。
SOSの猿/伊坂幸太郎 感想・評価 自己嫌悪が強い人にオススメ
最後に『SOSの猿』に対する個人的な感動評価をさせていただきます。
自分の気持ちに合った本を読むのが一番ですからね。
本を選ぶ際の参考にしてください。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。