こぷろぐ

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感動する本、映画、アニメをご紹介。うつ病との向き合い方も!

ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。 感想 生きづらさを感じる人必見

hこの記事はこんな人に読んでほしい
  • 死にたいと思っている人
  • 家族に問題を抱えている人
  • 生きづらさを感じている人
  • 全ての元気なしなしのみなさん

ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。 ネタバレなし評価

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読みやすさ :[star rating="4"]


読んでほしい人:全ての元気なしなしのみなさん

正直、私はこの本の魅力を伝え切れる自信がありません。本当に素晴らしい本なんです。だからこそ、自分の言葉にして伝えることで、幡野さんが伝えたかったことがぼやけてしまう気がするんです。

ぶっちゃけ★の評価もテキトーです。そもそも数値で測れるようなモノじゃないんですもん。

だからこの本はあれこれ言うよりもとにかく読んでほしいです。そして直接感じとってほしいです。

とは言え、全くご紹介しないのも職務放棄なので、頑張ってご紹介していきます。是非最後までお付き合いください。

トラさん
トラさん

紹介の前に、そもそも元気なしなしって何?

こっぷ
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どれだけ元気がないかの度合いです。
詳しくは『ブログの詳細』をご覧ください!

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ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。 概要

作品名:ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。
著 者:幡野 広志

出版社:ポプラ社

発売日:2019年5月28日

この本は写真家であり、自らもガン患者である幡野広志さんの体験談、及び同じように生きづらさを感じる人への取材をまとめた一冊です。

 

話のメインとなるのは以下の4人です。

  • 幡野広志さん(本人)
  • 17歳で卵巣ガンにより、子宮と卵巣を全摘出したKさん
  • 中学の時に、乳がんで母親を亡くされたMさん
  • 25歳になったら自殺したいと言っていた、22歳のTさん

どのお話も目を背けたくなるくらいのリアルな苦しさを感じます。

著者 幡野広志

まずは著者の幡野さんについてご説明させてください。

幡野 広志(はたの ひろし)

・1983年生まれの写真家。
・“海上遺跡”で“Nikon Juna21”を受賞
・妻と息子の3人暮らし
・2017年に血液のガンを発病する

幡野さんのガンは多発性骨髄腫という難治性ものです。

読んで字のごとく、現代医療では完治が難しく、5年生存率は3割以下です。そして、ガンが見つかった2017年当時、お子さんはまだ1歳だったそうです。

こっぷ
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ちなみに幡野さんのブログはこちらです。

ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。 感想【オススメする理由】

リアルすぎるリアル

『ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。』には幡野さんがガンを発病した自身のことや、生きづらさを感じている人に取材したことがまとめられています。その描写のどれもが、もうほんとうにリアルです。

例えをあげると、17歳のときに卵巣ガンとなり、子宮と卵巣を全摘出したKさんの話です。

抗がん剤はほんっとにつらかった。ものすごい吐き気で、何も食べられない絶食状態が続いて、それでも胃液を吐いて、胃液もなくなったら今度は緑色の液体を吐いて」

出典:ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。/幡野広志

健康な人にとって”ガン”と聞くと、漠然と「辛いんだろうなぁ」感じるでしょう。
でも、具体的に何がどう辛いかまでは想像することは難しいと思います。

そんな健康な人にとって、こうしたリアルな描写を挟まれると、今までの想像がいかに生ぬるいものだったかを思い知らされます。いや、今の想像だって、実際に経験した人からすれば、生ぬるいことに変わりはないんですが…。

ここで私が何を言いたいかというと、死ぬのは大変ということです。

 

みなさんは「死にたい」と思ったことありますか?

私はあります、実行に移したわけじゃないんですけどね…。とは言え、自分のような人も、もっと本格的に自殺を考えた人も、世の中にたくさんいると思うんです。

 

そんな人に対して、私は決して「自殺はよくない」とかそんなことをここで言うつもりはありません。ただ、死ぬのって自分が思っている以上にきっと大変なんです。
不謹慎かもしれませんが、病気で吐くものがなくなって、緑色の液体を吐いても、人間はまだ死ねないんですよ。人の命を終わらせるというのは、そんな簡単にはいかないんです。

 

そう思うと、自分みたいな健康な人が軽はずみに死にたいと考えることはどうかなって気持ちになります。これはあくまで私の場合ですけど、たぶんただ漠然と死にたいと考えているだけなんです。「死んだら今の苦しみから抜け出せるかも」と安易に考えているだけなんです。

つまり、死ぬとはどういうことかを理解していないからこそ、死にたいって思えるだけなんです。

 

もちろん世の中のみなさんはきっと自分よりも大変な思いをしているだろうし、それでもやっぱり死にたいと思う人はいるでしょう。それは理解します。

それでも、私は安易に死にたいなんて考えるのはもうやめようって思えました。今の自分には、そういった当たり前に気づくことが大切なんだと考えてます。この本はそれを、私に教えてくれました。

家族の問題

家族


本書で最も語られているのが家族のことです。

取材を受けた人も、幼い頃から虐待を受けていた人もいれば、良い子を演じるがあまり本音を打ち明けられなかった人など、それぞれの問題を抱えています。また、自分の病気をきっかけにして、母親が変わってしまった人もいます。

そういった人の実情が、リアルに語られています。

みなさんの中にも家族の問題を抱えている人はいるかもしれません。
そんな家族の問題を抱えている人に向けられた言葉を2つご紹介します。

 

家族とは「与えられるもの」ではなく、「選ぶもの」なのだ。
もしも改善の余地がない関係だったとしたら、たとえ親子であっても、その関係を断ち切って構わないのだ。

出典:ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。/幡野広志

 

少なくとも、「そこに生まれてしまった以上、永遠に逃げられない場所」だなんて、ありえないと思う。ぼくは自分の人生を自分で選んでいきたいし、自分の居場所も自分の家族も、自分の手で選んでいきたい。それはぜったいに、可能なことなのだ。

出典:ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。/幡野広志

親子や夫婦といった家族関係を切ることは、一般的には良くないこととして認識されがちです。特に親子関係の場合、子供は親を選ぶことができないにも関わらず、子供は親に尽くさなければ、親不孝と言われてしまいます。

それでも幡野さんは、たとえ親子であっても、家族を”選ぶことができるもの”として捉えています。

つまり、つらければ親と距離をとってもいいんです。

正直、私は家族には恵まれたと思っています。

もちろんその時々で問題はあったものの、大きく家族が破綻することはありませんでした。なので、そんな私ではこの本の魅力(とりわけ家族について)を上手く伝えることができないんじゃないかと心配しています。

よって、あえてここでは私から多くは語りません。是非、本から直接メッセージを受けとってほしいです。そして、家族の問題で悩んでいる人の気持ちが、少しでも穏やかになるきっかけになれば嬉しいです。

人生に後悔がないと言えるワケ

本書の中で幡野さんは何度も、「自分の人生に後悔はない」とおっしゃっています。その理由について、幡野さんはこのように語っています。

ぼくが人生に後悔がないといえるのは、すべてを自分で選んできたからだ。

出典:ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。/幡野広志

家族を、仕事を、自分で考えて選んできたからこそ、幡野さんの人生には後悔はないんです。
これは凄く自分の胸に刺さりました。

 

私は選択に迷ったとき、占いに頼ったことがあります。そして、その占いを信じて選択を行なったことがあります。

そのときの私がどうなったか。結論から言うと、後悔しました。それはこちらの選択肢をとったことに対してではなく、自分で選択をすることができなかったことに対する後悔でした。

もちろん結果も大事です。もし結果さえ良ければ、「占い最高だぜ!」となっていた気もします。

でも現実は違いました。そして私が感じたことは、どんなに苦しくても、たとえ間違えたとしても、自分で選択するべきだったということです。(もちろん占いを否定する気もありませんが)

 

これは占い以外にも言えます。

本当は選びたい選択肢があったとしても、常識や世間体に邪魔された人もいるでしょう。もしその選択を、常識を考慮した結果、自分で選んだのであれば問題ありません。

でも、本心とは違う選択肢を常識に選ばされたと感じている人は、きっと後悔してる人だと思います。

もし、自分のように後悔している人がいれば、これからすることはシンプルです。

自分で考えて、自分で選ぶ。選ぶことは難しいけれど、きっと納得できるんじゃないかと思います。

幡野さんの言葉

この本の魅力をしっかり伝えられるようここまで頑張ってきましたが、やっぱり難しいです。あまりに鮮烈で、センシティブで、誤解のないよう上手く伝え切ることができないんです。

なのでここからはあえて、私の心に響いた幡野さんの言葉をそのまま羅列していきます。
その言葉を見て救われるのならまずはそれで良し。そこで興味を持って、本書を読んでくれたらなお良しです。

 

ほんとうの強さとは、愛する誰かに対して「助けて」と声を上げられることを指すのかもしれない

出典:ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。/幡野広志

 

 

妻と結婚してどう控えめに言ってもかわいい息子に恵まれ、病状を知り涙してくれる友人がいる。社会人とは思えないほど長期休暇を取って広く浅い趣味に没頭し、好きなことを仕事にした。幸せの価値観は多様性があり人それぞれだけど、ぼくは自分の人生が幸せだと自信を持って言える。

出典:ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。/幡野広志

 

 

ぼくは写真のことしか分からないけど、なにかをやるときの技術って、全然たいした問題じゃないですよ。技術が上がるっていうのは、ただ『失敗の回数が減る』というだけのことですから。大事なのは、自分が好きなこと、自分で選んだことを、もっとわがままになってやるっていう、それだけだと思います。

出典:ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。/幡野広志

 

 

生きるとは、『ありたい自分を選ぶこと』だ。

出典:ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。/幡野広志

 

いかがでしたか?これらの言葉は私の琴線に触れた中のほんの一部です。
本当はもっとご紹介したい言葉がたくさんあります。批判についての言葉や、忘れられない看護師とのエピソード、患者とその家族について…。

あげればキリがありません。

気になった方は実際に読んでみてください。

『ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。』まとめ

『ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。』とは・・・

  • 生きづらさを感じている人の心に届く
  • 家族との向き合い方を考えさせられる
  • 後悔のない人生を送るヒントに出会える

 

百聞は一見に如かず。とりあえず読んでください。幡野さんの他の著書や作品はこちら。

 

最後までお読みいただきありがとうございました!