その日のまえに/重松清 ネタバレなし感想・評価 生と死がテーマの感動小説
この記事はこんな人に読んでほしい
・泣きたい気分の人
・後悔していることがある人
・元気なしなし度が”たまご”、”けむし”の人
その日のまえに/重松清 ネタバレなし評価
感動する :[star rating="5"]
共感する :[star rating="4"]
タメになる :[star rating="2"]
背中押される:[star rating="2"]
読みやすさ :[star rating="4"]
読んでほしい人:たまご
これぞ重松さん!と言える感動する小説です。読んでいると自然と涙ぐんでしまいます。
泣いてスッキリしたい、たまごの人にピッタリの小説です。
よく感動する小説として名前があがっていますが、その高くなったハードルを飛び越えるくらい良い小説でした。
ただ序盤は若干退屈に感じるかもしれません。ぜひ序盤で諦めず最後まで読んでほしいです。
さて今回はそんな感動小説『その日のまえに』を、ネタバレなしでご紹介します。
紹介の前に、読んでほしい人の”たまご”ってなんの話?
どれだけ元気がないのかの度合いです。
詳しくは『ブログの詳細』をご覧ください!
その日のまえに/重松清 概要
著者 重松清
その日のまえに あらすじ
僕たちは「その日」に向かって生きてきたーー。昨日までの、そして、明日からも続くはずの毎日を不意に断ち切る家族の死。消えゆく命を前にして、いったい何ができるのだろうか……。死にゆく妻を静かに見送る父と子らを中心に、それぞれのなかにある生と死、そして日常のなかにある幸せの意味を見つめる連作短編集。
出典:『その日のまえに』/重松 清
その日のまえに/重松清 オススメする理由
オススメする理由はとにかく感動するからです。重松さんの真骨頂である限られた時間の儚さが凝縮されています。
具体的に感動するポイントを2つご紹介します。
なお、この先は一部小説から一文を引用しています。本編の内容には触れていないので、ネタバレとまではいきませんが、気にされる方はここで読むのをやめておいてください。
その日のまえに 感動ポイント① 死にゆく人と残される人
『その日のまえに』は、死にゆく人と残される人の関わりを描いた作品です。
この両者の関係性が絶妙だなと思うんです。
一般的な小説や映画では、家族や恋人など大切な人の死を描いたものが多いです。
しかし『その日のまえに』では、その関係性が家族だけでなく、旧友であったり単なるクラスメイトであったりと様々なパターンがあります。
その距離感がリアルなんです。フィクションなのにドキュメンタリーのように感じるんですよ。
短編集なので、自分が感情移入できる人物を見つけやすいかと思います。
その日のまえに 感動ポイント② 日常の強さ
私の思う重松さんの小説の良いところは、日常の刹那的な儚さです。学校や家族など限られたコミュニティで、リアルな日常を感じられる点が大好きなんです。
その点において『その日のまえに』は重松さんの良さが凝縮されています。
この小説の登場人物はしばらく続くと思っていた人生が、突然もうすぐ終わると知ります。その瞬間、彼らの日常は日常ではなくなります。今まで当たり前に続いていた時間が、いかに尊いものだったかを悟ります。
そんな日常が日常でなくなった彼らのセリフを、いくつかご紹介します。
僕たちは、どこからここに来たーー?
「明日」を断ち切られてしまって、初めて、その問いのかけがえのなさに気づいた。出典:『その日のまえに』/重松 清
日常というのは強いものだと、和美が病気になってから知った。毎日の暮らしというのは、悲しさや悔しさを通り越して、あきれてしまうほどあたりまえのものなのだと--うまく言い方が見つからないまま、思い知らされた。
出典:『その日のまえに』/重松 清
日常を”強いもの”と表現している点がすごくお気に入りです。日常というものの当たり前さ、それは一度失ってしまうと決して元には戻らない強いものなんだと感じました。
人生って振り返ってみてから「あのときは良かったなぁ」と思うこと多いですよね。
よく言われることですけど、でもその当時は当たり前だったからその良さにも気づかないんです。それで、失ってから気づくんです。
私の場合、それが仕事でした。
「あのときの仕事は良かった」
「またあのときのような仕事がしたい」
今はそんな思いが膨らむばかりですが、当時の私は自分が恵まれているなんて思ってもいませんでした。当たり前の強さ。身にしみて実感します。
『その日のまえに』まとめ
『その日のまえに』は…
・日常の強さを感じることができる